「間取り図から想像し、癒されていた」上京の部屋
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。 今回は、今年の4月に上京、建築系の書籍を扱う会社にお勤めの、楠田さんのお部屋を訪問。大山さん、趣味が近いせいで「もしかしてここ、ぼくの部屋だったかもしれない」なんて言っちゃってます。…
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、女性イラストレーターさんの一人暮らしのお部屋に訪問。部屋で仕事するため、「陽当たり」が最優先だったという彼女は、これがなんと9回目の引越し。さすが、すっきり整理された気持ちのよいお部屋でした。
(編集部)
とにかく明るい部屋だ。上の平面図写真で分かるように、部屋の長辺方向が窓。これはいい。「以前住んでいた部屋がほんとうに暗くて。友達に『沼』って呼ばれてました」と、加賀谷さん。今回おじゃましたこの部屋に住んでいるのはこの方だ。「だからとにかく陽当たりがいちばんの条件で、それでここを選びました」。それにしても沼って。ちょっと見てみたい。
今の状態を見てしまうと想像するのが難しいが、この部屋、入居前はワンルームではなく2つに仕切られていたという。ちょっとせせこましい感じだったのではないか。それがリノベされて今の状態に。「キッチン別じゃない方がいいですよね」と加賀谷さん。おかげで明るさも増したのではないか。時代で異なる入居者の家族構成や、ライフスタイル、設備や断熱の性能進化などによって求められる間取りはどんどん変わる。リノベーションの物件を見るたびに、できることはまだまだたくさんあるよなあ、としみじみ思う。
さて、加賀谷さんはフリーのイラストレーター(サイトはこちら)。「沼」時代は会社員だったそうだが、現在は家で仕事をしている。「あまり外出しないので。『沼』じゃだめだ、と」。ぼくがびっくりしたのは「イラストレーターさんにしては物が少ない!」ということ。仕事柄、本が多くなりそうなものだ。特に大判の。
と思ったら「いらないものはだいたい実家に置いてあるので」とのこと。それによく見てみれば、要するにちゃんと整理整頓されているのだった。「資料」の名目で買い散らかして積ん読がタワーのようになっているぼくの部屋とは違うのである。面目ない。
決して広い部屋ではないが、まったく窮屈な感じがしないのは、背の高い家具がないからもあるだろう。そもそも、まず家具が少ない。すっきりしててうらやましい、と言うと「これだ、と気に入る物がなかなかなくて。妥協したくなくて『とりあえず』という感じで使ってます」とのこと。中でもいちばんびっくりしたのは「そういえば、いままでゴミ箱を使ったことがない」とおっしゃったこと。見回してみると、確かに、ない。一昔前の、パソコンが普及する以前のイラストレーターさんだったらありえないことだろうな、と思った。
きけば加賀谷さん、この部屋で9回目の引越だそうだ。毎回取材同行している編集の田村さんも引越好きだそうだが、無類のめんどくさがりやのぼくには信じられない。考えてみれば、部屋は試行錯誤できても、家具は本当に気に入った物が見つかるまで買わない、ってすごくおもしろい。いつか加賀谷さんが「これだ!」という家具に出会って部屋に揃えたあかつきには見に行きたい。
ともあれ、現在の家具や調度にこだわりはないとおっしゃるものの、雰囲気はじつにすてきだ。どうしてだろう。ふしぎ。
ここで好例の「何か物を並べてもらう」ですが。実は加賀谷さんとぼくは数年前に一度お会いしているのだった。今回のこの取材での再会はまったくの偶然。びっくりした。どういう縁で会ったのかというと、鉄塔を見て回るツアーで、だ。あの鉄塔だ。電気を運んでいるあれ。
工場や団地、ジャンクションといった土木構造物を写真に撮っているぼくには、鉄塔趣味の知り合いが何人かいる。そのひとりである長谷川秀記さん(写真集「東京鉄塔」を出版している)が主宰するツアーだった。ツアーと言っても同好の士で鉄塔をつたって歩くだけだが、これがとても楽しい。参加者は大勢いて、その中に加賀谷さんがいらっしゃったのだ。当時まだ学生さんだった。そう、鉄塔趣味人なのだ、加賀谷さんは。
すっかり部屋の話じゃなくなっちゃって申し訳ない。編集の田村さんも同じく土木趣味をたしなむ人なので、3人で「鉄塔いいよねー」ってすっかり見入っちゃって。同行してたgoodroomの営業さんがちょっと引いてた。
ともあれ、再会が部屋の取材ってなんだかちょっといいな、って思ったことと、飾り立てないすっきりとした部屋はとてもすてきで見習いたい、ということ。そして鉄塔趣味のイラストレーターとして今後の活躍が楽しみだ、ってことです。
加賀谷さんのウェブサイト、SNSアカウントはこちら。素敵な作品がたくさん載っていますよ。
ウェブサイト:http://kagayakanako.com
Twitter:@s_abao
Instagram:@kanakokagaya
大山 顕
写真と文:大山 顕
“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
Twitter (@sohsai)/Facebook
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、都内を中心に、毎月10~20部屋登場します。鉄塔マニアさんにもおすすめ。無垢フローリングの居心地のよい空間を体験してみてくださいね。
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